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2022.03.24

フリーランスが税金を払わない・確定申告しないとどうなる?リスクを解説

自分で金銭管理を行って確定申告をし、税金を納めなければいけないフリーランス。会社員よりも税金が高いように感じたり、確定申告を面倒に感じたりすると、つい「税金を支払わなくてもバレないかな」「確定申告はしなくてもいいかな」と考えてしまう人もいるはずです。

 

しかし、フリーランスが税金を払わない・確定申告をしないと、重大な問題に発展してしまうことも。本記事では、フリーランスが税金を払わない・確定申告をしないとどうなるのかについて詳しく解説します。

そもそもフリーランスが支払うべき税金の種類とは?

そもそもフリーランスが支払うべき税金の種類とは?

まずは、フリーランスの人が支払うべき税金には何があるのかをおさらいしましょう。それぞれ税金の種類や支払い対象者などについて、以下で解説します。

所得税

所得税とは、その名の通り所得に対してかかる税金のことを言います。誰でも一律で、1年間の合計所得が48万円を超えると支払わなければならないものです。

 

会社員の場合は、1年間で会社からもらった給料の合計額をもとに計算し、金額が決まります。フリーランスの場合は、1年間で得た収入から経費や控除を差し引いた額に対して計算されたものが納税額です。会社員であれば会社が計算・天引きを行ってくれますが、フリーランスの場合は申告・納付ともに自分で行わなければいけません。

 

会社員・フリーランス問わず、不動産所得や副業による雑所得などを含め、1年間で得たすべての収入を合算して所得税を算出する必要があります。仮に会社からの給料以外に収入がある会社員の場合は、自分で別途確定申告を行わなければいけない点に注意が必要です。

 

ちなみに、ここで言う「所得」とは、「収入」とは別のものです。収入は売上金額のことを言い、所得は売上金額から必要経費を差し引いたもののことを言います。フリーランスの場合は、かかった経費をしっかりと記録したうえで確定申告で漏れなく申告することで、かかる所得税を減らすことが可能です。必ず所得と収入を間違えないようにしましょう。

住民税

住民税とは、住んでいる地域の自治体に納める税金です。所得税と同様に1年間の所得合計に対して金額が決まります。住民税には、各都道府県に納める都道府県民税と、各市区町村に納める市区町村民税が含まれており、ふたつを総称して住民税と呼んでいるのが特徴です。

 

会社員であれば、原則会社が住民税を給料から天引きしてくれる「特別徴収」という制度が適用されます。企業には基本的に特別徴収が推奨されているため、ほとんどの企業で天引きを行ってくれることが基本ですが、まれに取り入れていない企業もあるため注意が必要です。特別徴収を企業が取り入れていない場合や、フリーランスの人は、自ら住民税を納める普通徴収が適用されます。普通徴収の場合は、各自治体から届く納付書に従って自分で納税しなければいけません。

国民健康保険料

フリーランスの場合は、原則国民健康保険に加入する必要があります。住民税と同様に、各自治体が管理しているものです。会社員を辞めてフリーランスになった際には、必ず役所で手続きを行ってください。

 

国民健康保険料は、各自治体によって定められた料率や所得、家族構成等によって金額が異なります。会社員であれば、健康保険料は会社と折半して支払う一方で、フリーランスの場合は全額自己負担です。そのため、会社員時代よりもかなり高額になったと感じる人が多いと言われています。

 

国民健康保険料として納めた金額は、全額が確定申告時に控除されるのも特徴のひとつです。

国民年金保険料

国民健康保険料と同様に、フリーランスの人は国民年金に加入をしなければいけません。国民年金保険料は、所得等に関わらず誰でも同じ一律料金です。

 

会社員の場合は、国民年金に加えて厚生年金というものにも加入し、会社と折半して支払います。老後には国民年金と厚生年金の両方が支給される仕組みです。フリーランスの場合は厚生年金には加入せず国民年金のみなので、老後に支給されるのも国民年金のみということになります。

 

国民健康保険料と同様に、国民年金保険料も確定申告時に全額控除することが可能です。

個人事業税(対象者のみ)

個人事業税とは、対象の業種を営んでいる人だけ支払う義務のある税金です。ただし、対象業種であっても年間所得が290万円を超えていない場合は、支払う必要がありません。また、会社員にはかからず、フリーランスや個人事業主の人だけが対象です。

 

個人事業税は、公共事業や社会福祉のために使われる税金で、各自治体に納めます。税率は業種によって3〜5%の間で変動するもので、販売業や畜産業、税理士業など合計70業種にかかる税金です。

 

どの業種に個人事業税がかかるかの詳細は、以下の主税局サイトでチェックしてみてください。

 

参考:個人事業税|東京都主税局

消費税(対象者のみ)

消費税も、対象者にのみ発生する税金です。普段の買い物などでも日常的に支払っているものなので、最もなじみの深い税金と言えます。フリーランスとして働いて得る収入にも、同じように消費税が加算され、規定の売上金額を超えたら国に納めなければいけません。

 

報酬に対する消費税は意外と見落とされがちですが、本来はしっかりと消費税まで上乗せをして請求してよいものです。以下の条件にあてはまった場合は消費税を納めなければいけないので、報酬にしっかりと消費税を上乗せして請求するようにしましょう。

 

  • 前々年の売上が1,000万円以上
  • 前々年の売上が1,000万円以下でも、前年の1月1日〜6月30日までの売上が1,000万円以上
  • 「消費税課税事業者選択届出書」を提出した場合

 

消費税については、以下の記事でも詳しく解説しています。気になる人はチェックしてみてください。

 

参考:フリーランスは消費税を請求書にのせていい?インボイス制度についても解説!

確定申告をしない=税金を払わないため脱税扱いになる

確定申告をしない=税金を払わないため脱税扱いになる

日本は、国民が自己申告を行うことで納税をする「申告納税制度」を採用しています。この自己申告を行う場が、毎年2〜3月にかけて行われる確定申告です。つまり、確定申告をしないということは、支払う税金がいくらなのか自己申告をしない、税金を支払わないということになるため、脱税扱いにされてしまいます。

 

確定申告をしないと「無申告」という状態になり、ペナルティが加算されることに。確定申告をしないことで発生しうるリスクについて、以下で詳しく解説します。

確定申告をしないと督促状が届く

確定申告をしていないことに気づかれると、所得隠しをしているとみなされ、税務署から督促状が届きます。税務署はおかしいと思った時点で徹底的に調査を行うため、確定申告をしていないことや納めるべき税金が納められていないことにすぐ気が付きます。

 

何かを理由に確定申告をしておらず督促状が届いてしまった場合は、税務署へ連絡をしたり早急に納税したりと、誠実に対応をしましょう。バレないだろうと意図的に確定申告をしなかった場合でも、督促状が届いた時点ですべてバレてしまっているので、無視せず必ず対応してください。

 

無申告状態になった時点で、本来支払うべきだった税金にプラスして罰金が15%〜20%ほどかかるほか、延滞税も7.3%〜14.6%ほどかかります。

督促状を無視するとペナルティとして加算税や延滞税が重くなる

督促状が届いてもなお無視をした場合は、ペナルティとして加算税や延滞税がさらに重くのしかかってしまいます。過少申告加算税や無申告加算税、重加算税など状況に応じてさまざまなペナルティが追加されてしまい、支払う総額がかなり高額になることも。

 

とくに延滞税は、支払う日が遅れれば遅れるほどどんどん膨らんでいくため、無視し続けた期間分の金額を支払わなければいけません。また、税金を長く滞納すると各種ローンが組めなくなったり、行政サービスが受けられなくなったりと、普段の生活で困ることにも発展します。

 

はじめから誠実に支払っておいたほうが圧倒的に負担額が少ないので、必ず毎年期限内に確定申告を行って税金を納付しましょう。

さらに無視を続けると財産が差し押さえられる

それでも無視を続けると、悪質とみなされ加算税の税率が約35〜40%と非常に高く引き上げられるうえに、住宅やその他財産の差し押さえが実行されてしまいます。預金まですべて差し押さえられて使えるお金がなくなったり、会社に連絡をされて給料まで差し押さえられてしまうことも。

 

経済的な事情があり税金を支払えない場合には、差し押さえにまで発展する前に各自治体や税務署へ相談してください。状況や税金の種類によっては納付期限を遅らせてもらえたり、軽減してもらえたりすることもあります。差し押さえにまで発展すると普通の生活がままならなくなるため、注意しましょう。

確定申告をしない・税金を払わないとバレる2つの理由

確定申告をしない・税金を払わないとバレる2つの理由

確定申告をしない・税金を払わないという行為は、一見バレなさそうにも思えるものです。以下では、なぜ税務署にバレてしまうのかの理由を2点紹介します。

税務調査

税務調査とは、納税者が確定申告を正しく行っているかを税務署が調査するもののことを言い、フリーランスであっても調査の対象になることがあります。税務調査が自分に入った場合は、確実にすべてバレてしまうものと認識してください。税務署が調べて分からないお金の流れはほぼないに等しいため、無申告や虚偽の申告、改ざん等があればすぐに分かります。

 

また、自分に税務調査が入らなくても、取引先やクライアント側に税務調査が入った場合もバレてしまう点に注意が必要です。税務調査が入った場合は、その企業がいつ誰にどんな仕事を依頼し、いくら報酬を支払ったのかまで調べます。

 

仮に自分の取引先に税務調査が入ると、「Aという人に仕事を○円で依頼しているのに、Aには確定申告を行った記録がない」と気づかれてしまうのです。いつどこに税務調査が入るかは分からないため、バレるリスクはあらゆるところに潜んでいます。

支払調書

支払調書とは、取引先やクライアントから報酬を受け取る際に発行されることがある書類のことです。誰にどんな内容でいくら支払ったのかが明記されています。支払調書は、発行した側が税務署へ提出しなければいけません。

 

税務署はこの支払調書をもとに、支払いを受けた側がきちんと確定申告をしているかまで調べます。当然支払いを受けた側が確定申告をしていなければ、すぐにバレてしまいます。

無申告だけでなく不正もペナルティの対象に

無申告だけでなく不正もペナルティの対象に

確定申告をしなかった場合にペナルティが発生することは解説しましたが、もちろん不正を働いた場合もペナルティの対象になってしまいます。「ほ税」と呼ばれる帳簿の改善や過少申告等は、すべてペナルティの対象です。

 

確定申告をしなかったケースよりもペナルティが重くなることもあり、行った不正の悪質さによっても判断されます。本来納税するはずだった金額に加えて、重加算税が40%ほどが加算されることがあるだけでなく、場合によっては刑事罰を受けることにもなりかねません。懲役刑を受けたり、1,000万円以下の罰金を科されることもあります。

 

無申告を意図的にするのももちろんNGですが、不正は絶対にやめましょう。すぐにバレなくても、数年の間に必ずバレてしまいます。

確定申告をしなくていいフリーランスもいる?

確定申告をしなくていいフリーランスもいる?

ここまで、確定申告をしなかった場合のリスクやペナルティについて解説しましたが、これらはすべて確定申告をしなければいけない対象の人に限った話です。確定申告がそもそも不要な人の場合は、もちろん無申告でも問題ありません。

 

以下では、確定申告をしなくてもいい人のケースについて解説します。

事業所得が48万円以下の人は原則不要

フリーランスの人でも、事業所得が48万円以下であれば確定申告は原則しなくて問題ありません。なぜ48万円以下なのかと言うと、確定申告では無条件に全員が48万円の基礎控除が受けられるためです。(所得金額が2,400万円以下の人すべて)

 

つまり、48万円を課税対象所得から差し引くことができるため、仮に所得が48万円以下であれば課税する金額が0円になってしまうため、確定申告をしなくてもいいということになります。

 

また、48万円というのは収入ではなく所得である点にも注意が必要です。所得とは、報酬として得た収入から必要経費を差し引いたものを意味します。仮に収入として得た金額が500万円だったとしても、かかった経費が470万円あれば所得は30万円です。その場合は、確定申告をしなくてもよい対象者になります。

 

確定申告の必要有無については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。

 

参考:フリーランスの確定申告はいくらから?主婦など働き方別に必要有無を解説!

確定申告不要の人でも確定申告したほうがいいケース

前項のとおり確定申告が不要の人であっても、確定申告をしたほうがいいケースがあります。むしろ得をすることになるため、以下で解説するケースにあてはまるフリーランスの人は、ぜひ確定申告を行ってください。

赤字だった場合

その年が赤字だった場合は、先述した条件に当てはまるため原則確定申告は不要です。しかし、赤字になった年に確定申告を行えば「純損失の繰越控除」という制度を利用することができるため、むしろ得をします。

 

純損失の繰越控除とは、赤字を最長3年間繰り越すことができる制度のことで、黒字化できたときにこれまでの赤字と相殺して課税所得が減らせるというものです。つまり、赤字が出たことを申告しておくことで、黒字化できた年の課税所得からこれまでの赤字分を差し引くことができ、支払う税金を少なくすることができるということです。

 

ほかにも、赤字を確定申告すると税金の還付を受けられたり、住民税が軽減できたりするため、確定申告をしておいたほうが得をします。確定申告の手間はありますが、それ以上にメリットが豊富なので、赤字が出た場合は必ず確定申告を行っておきましょう。

収入から源泉徴収がされている場合

取引先やクライアントからあらかじめ源泉徴収されている収入がある場合も、確定申告をしておいたほうが得になることがほとんどです。源泉徴収とは、企業があらかじめ所得税を報酬から差し引き、フリーランスの人に代わって国に納めてくれる制度のことを言います。

 

源泉徴収される金額はあくまでもざっくりと見積もったものなので、場合によっては払いすぎていることも。本来納めるべき所得税額を確定申告で正しく割り出し、仮に払いすぎていた分があれば還付してもらえます。

 

確定申告をしなければ本来戻ってくるはずの税金が戻ってこなくなってしまうので、源泉徴収の有無を確認し、引かれているものがある場合には必ず確定申告を行いましょう。

住民税の申告を別途やりたくない場合

確定申告が不要な人であっても、住民税の申告は全員共通で必要です。確定申告はあくまでも所得税を納付するためのものであり、住民税の申告・納付は管轄が異なります。

 

しかし、確定申告を行った場合は、そのデータを税務署が各自治体に送信してくれるため、別途自治体に申告せずとも住民税額が決まるのです。確定申告をしなかった場合は税務署から自治体へ所得等のデータが送信されないため、各自治体も把握することができません。

 

確定申告をしない場合でも別途住民税の申請は必要なので、かえって手間に感じる人も多くいます。はじめから確定申告をしてしまったほうが、メリットが多いうえにスムーズです。

 

確定申告の対象外だからといって住民税の申告もしなかった場合は、罰則の対象になるため注意しましょう。

フリーランスは正しく確定申告を行って税金を払おう

フリーランスは正しく確定申告を行って税金を払おう

フリーランスの人が確定申告をしない・税金を払わない場合に発生しうるリスクについて解説しました。確定申告をせず税金を支払わなかった場合は、必ずいつか税務署にバレてしまいます。意図的に行うのはもってのほかですが、仮に経済的な事情がある場合は、税務署や各自治体に事前に相談してみることが重要です。支払えないからと言って放置すると、想像以上に重いペナルティが発生するので注意しましょう。

 

また、確定申告が本来不要の人でも、できれば確定申告しておくのがおすすめです。さまざまなメリットがあるほか、住民税の申告も不要になります。フリーランスの人は、正しく確定申告を行って、納めるべき税金をきちんと納付するようにしましょう。