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2023.12.25

インボイス制度で個人事業主に生じるデメリットとは?わかりやすく解説

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2023年10月から開始されたインボイス制度。開始するまでさまざまな議論が飛び交い、個人事業主や小規模事業者からは悲鳴も上がっている制度ですが、個人事業主にとっての具体的なデメリットが把握しきれていない人も少なくありません。

 

本記事では、インボイス制度によって個人事業主に生じるデメリットを解説します。抜け道はあるのかや、知っておくべき注意点にも触れるので、インボイス制度について理解しきれていない個人事業主の人はチェックしてみてください。

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    インボイス制度が個人事業主に与えるデメリットとは?

    インボイス制度が個人事業主に与えるデメリットとは?

    インボイス制度には、個人事業主の取引先が減ったり事務的な手間が増えたりするデメリットがあります。今後のために、どんな弊害があるか正しく理解しておきましょう。

    取引先や報酬が減る可能性がある

    インボイス制度の施行により、個人事業主の取引先や報酬が減る可能性が懸念されます。個人事業主が課税事業者にならない限り、取引先は消費税分の損失を被るため、課税事業者にならない個人事業主とは取引してくれなくなる可能性があります。

     

    A社・B社・C社の3社を例に挙げて考えてみましょう。B社は、A社から注文を受けた商品を作るために、C社から10万円分の素材を仕入れました。商品代金は10万円、消費税は1万円なので合計11万円をB社からC社に支払います。

     

    A社は、B社の商品代金である20万円に消費税の2万円を合わせ、合計22万円支払いました。B社は、この商品を作るためにC社へ消費税を1万円支払ったあと、A社から消費税2万円を受け取っています。

     

    消費税はひとつの商品やサービスに対して1回しか発生しないものなので、B社はA社より受け取った消費税から、C社へ支払った消費税を引いた分だけを納税すれば問題ありません。つまり、2万円-1万円=1万円のみがB社が負担すべき消費税です。このように、受け取った消費税と支払った消費税を差し引きして納税できるのが、仕入税額控除です。

     

    これまで、仕入税額控除を受ける際に提出が必要な請求書に指定はありませんでした。しかし、インボイス制度では、仕入税額控除を受けるためには適格請求書の提出が必要だと定められたため、B社はC社から適格請求書を受け取る必要があります。適格請求書が発行できるのは、課税事業者として登録している事業者のみです。

     

    C社が小規模事業者であり免税事業者だとすれば、適格請求書は発行できません。よってB社は仕入税額控除が受けられなくなり、これまでは1万円のみの負担でよかった消費税を、2万円も負担しなければならなくなりました。

     

    上記の例でわかるとおり、B社は免税事業者であるC社と取引をすると消費税の支払いで損をすることになるため、C社とはできるだけ取引したくないと考えるのが必然です。C社のような免税事業者は、取引先から取引を停止され、収入が減ってしまうリスクがあります。

    消費税の申告や納税の負担が増える

    個人事業主が課税事業者になって消費税を納めることにする場合は、申告や納税における事務的な負担が増えます。消費税は、取引先から報酬として受け取った消費税と、仕入先などへ支払った消費税を差し引きして納めます。

     

    いくら消費税を納める必要があるのかを計算しなければならず、経理処理の負担が増えるでしょう。個人事業主は何もかもひとりで対応し、事務処理も行っている場合が多いため、消費税の計算や手続きが増えると負担が大きくなる可能性があります。

    請求書の形式を変更しなければいけない

    課税事業者になると適格請求書が発行できるようになりますが、適格請求書には決まった様式があるため、これまで自由だったフォーマットを変更しなければいけません。

     

    適格請求書に記載が必要な項目は定められており、適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号・取引年月日・取引内容・税率ごとに区分して合計した対価の額・税率ごとに区分した消費税額・提出先の事業者名または名称が必要です。

     

    一度変更してしまえば問題ないとはいえ、変更する手間はかかります。取引先ごとに何らかの指定が増える可能性もあり、手間は増えるといえるでしょう。

    そもそもインボイス制度とは?なぜ必要か

    そもそもインボイス制度とは?なぜ必要か

    インボイス制度は、取引の正確な消費税額や率を把握するために必要な制度といわれています。そもそもインボイス制度についていまいち理解できていない人は、以下でおさらいしておきましょう。

    請求書の発行や受領方法、消費税納税の仕組みが変わる制度のこと

    インボイス制度とは、請求書の発行方法や受領方法、消費税納税の仕組みが変わる制度のことです。これまで請求書は、必要なことが記載されていれば比較的自由に作成できましたが、インボイス制度の開始後は定められた様式に則って作成する必要があります。インボイス制度によって新しく定められた請求書のことを、適格請求書と呼びます。

     

    ただし、適格請求書は消費税の課税事業者のみが発行できるものであり、免税事業者は発行できません。課税事業者として登録されている事業者は、定められた様式に則って適格請求書を発行する必要があります。

     

    インボイス制度の開始後は、適格請求書がないと仕入税額控除を受けられません。仕入税額控除とは、納税すべき消費税を計算する際に、受け取った消費税から支払った消費税を差し引いて二重課税を回避できる制度です。仕入税額控除が受けられないと、消費税を二重に支払うことになり負担が増えます。

    インボイス制度は取引の正確な消費税額と率を把握するために必要

    インボイス制度は、取引の正確な消費税額と率を把握するために必要です。2019年に始まった消費税の軽減税率により、仕入額のなかに消費税8%と10%のものが入り混じり、正しい消費税の納税額がわかりづらくなりました。

     

    インボイス制度で発行が求められる適格請求書では、商品ごとの価格と税率を記載することが求められ、消費税額と率を正しく把握できるようにしています。消費税8%と10%が混在することで、不当利益を得ようとする不正行為もありましたが、インボイス制度が適用されれば不正も減ると考えられます。

     

    例えば、仕入品の税率が本当は8%だったにも関わらず10%で計上すると、2%分を不当利益として手に入れることが可能です。適格請求書で商品ごとに詳細を明記するよう求めることで、不正ができない環境につながります。

    インボイス制度の影響を大きく受ける業種は?

    インボイス制度の影響を大きく受ける業種は?

    飲食店や雑貨店、ITフリーランスなどは、インボイス制度の影響を大きく受けると考えられます。飲食店の仕入れは軽減税率8%のものと、標準税率10%のものとにわけられるため、税務処理の負担が大きく増えるでしょう。

     

    雑貨店や絵画店、インテリア用品店などは、個人や小規模な免税事業者から作品を仕入れて販売することが多いため、消費税を二重に支払わなければならない可能性が高いといえます。

     

    近年増えているエンジニアやデザイナー、ライターなどIT系のフリーランスも、年間売上1,000万円以下の小規模な個人事業主であることが多いため、受ける影響は大きいでしょう。

     

    これまでなら、売上1,000万円以下であれば無条件に消費税を支払う必要はありませんでしたが、今後は企業から課税事業者になることを要求され消費税の納税負担が生じる可能性があります。課税事業者にならないにしても、消費税分の報酬を減らされてしまう事態にもなりかねません。

    個人事業主は全員インボイス制度に登録しないといけない?

    個人事業主は全員インボイス制度に登録しないといけない?

    インボイス制度が始まっても、個人事業主が全員課税事業者にならなければいけないわけではありません。課税事業者になることは義務ではなく、あくまでも事業者側の自由です。

     

    しかし、課税事業者にならなければ取引先へ適格請求書が発行できないため、取引を断られたり報酬を減らされたりする可能性があります。後述するとおり、課税事業者にならないことを理由に契約の解除や報酬の減額をすることは違反ですが、別の理由をつけて契約解除や減額にされる可能性は十分に考えられるでしょう。

     

    新規取引においても、課税事業者のみと契約する方針にしている企業が多いと予測できます。取引先の対応や業界、収入の状況によっては課税事業者になることを検討したほうがよいケースもあります。まだ課税事業者になるか迷っている場合は、取引先や同業他社の同行を見ながら検討しましょう。

    インボイス制度に抜け道はあるのか?

    インボイス制度に抜け道はあるのか?

    インボイス制度は個人事業主にとってデメリットばかりなので、なんとか抜け道を模索したい人も多いでしょう。以下では、インボイス制度に抜け道はあるのかどうかを解説します。

    抜け道はない。負担を軽減できる特例や制度を利用しよう

    残念ながら、インボイス制度に抜け道はありません。仕入税額控除は適格請求書がないと受けられないので、課税事業者として適格請求書を発行できるようにするか、免税事業者として現状維持で継続できるか取引先と交渉するなどして対応する必要があります。

     

    課税事業者になることを選ぶ場合は、負担を軽減できる特例や制度を積極的に利用しましょう。次項から、特例や制度について解説します。

    消費税の負担額を抑えられる2割特例

    2割特例とは、免税事業者がインボイス制度の開始を機に課税事業者になった場合に、消費税の負担が軽減される制度です。2割特例では、一定期間の消費税納税額が売上税額の2割に軽減されます。2割特例を適用すれば、支払う消費税を大きく減らすことができるため、必ず利用したい制度のひとつです。

     

    仮に売上が600万円で税額が60万円、経費が100万円で税額が10万円だった場合は、本来なら60万円-10万円で50万円の納税が必要です。2割特例が適用できれば、消費税納税額は売上税額60万円×20%で12万円の負担で済みます。差額は38万円と、非常に大きいことがわかるでしょう。

     

    2割特例を適用させるために申請や届け出は不要で、確定申告書に2割特例の適用があることを記載するだけで問題ありません。2割特例の対象者は、2023年10月1日から2026年9月30日の間に、新しく課税事業者になって適格請求書発行事業者に登録し、前々事業年度の課税売上が1,000万円以下の事業者です。2割特例は、2023年10月1日から2026年9月30日まで適用できます。

    帳簿のみの保存でも仕入税額控除が受けられる少額特例

    少額特例とは、税込み1万円未満の課税仕入れを行った場合に、適格請求書がなくても帳簿のみの保存で仕入税額控除が適用できる制度です。帳簿には、課税仕入れ先の名称や氏名・取引年月日・取引内容・課税仕入れにかかる支払い対価の額が記載されている必要があります。

     

    少額特例が適用できれば、適格請求書をもらう必要がなくなるため負担が減ります。少額特例は、前々事業年度における課税売上高か1億円以下、もしくは前年1~6月までの期間における課税売上高が5,000万円以下の場合に適用が可能です。2023年10月1日から2029年9月30日まで適用できます。

    適格返還請求書(返還インボイス)の交付免除

    税込み1万円未満の返品や値引きなど売上にかかる対価の返還において、適格返還請求書の発行義務が免除される制度もあります。適格返還請求書とは、適格請求書発行事業者が課税売上高に対して、商品の返品や値引きを行った際に発行しなければならない書類です。

     

    返品や値引きの度に書類を発行するのは負担が大きく、事務処理が増えます。1万円未満の少額であれば、適格返還請求書の交付は不要です。交付免除は全課税事業者が対象で、期限も設定されていません。

    その対応は違反かも?個人事業主が身を守るために知っておきたいこと

    その対応は違反かも?個人事業主が身を守るために知っておきたいこと

    個人事業主は、インボイス制度において不利な立場に陥りやすいといえます。取引先から不当な扱いを受けないよう、以下で身を守るために知っておきたいルールを確認しておいてください。

    発注側が消費税相当額の一部もしくは全部を支払わないのは違反

    個人事業主が免税事業者だからといって、発注側である取引先が消費税相当額の一部や全部を支払わないのは、下請法違反です。「今後は消費税分の10%を報酬からカットする」「免税事業者の人に消費税は支払えない」などと取引先からいわれた場合は、違反であるため注意しましょう。

     

    万が一上記のように言われた場合は、まずは落ち着いて冷静に交渉してみてください。企業や担当者によっては、まだインボイス制度への理解が浅く、違反と知らずに悪気なく言っている可能性もあります。冷静に伝えて、消費税分も支払ってもらえるよう交渉することが重要です。

    課税事業者に転換後も発注側が価格交渉に応じないのは違反

    個人事業主がインボイス制度を機に課税事業者になったにも関わらず、発注側である取引先が価格交渉に応じないのも違反です。個人事業主が課税事業者になると、これまで不要だった消費税の納税負担が生じるため、実質的に収入は下がります。

     

    取引先側は、個人事業主が課税事業者になることで仕入れ税額控除が利用できるようになるため、お互いに歩み寄って報酬を調整するのが筋と言えるでしょう。

     

    なかには、報酬の交渉はしてはいけないと思いこんでしまい、何も言えないまま実質収入が10%減ってしまう個人事業主もいます。価格交渉に応じることは取引先の義務なので、課税事業者になった場合は必ず取引先に相談し、冷静に話し合って折衷案を見つけましょう。

    課税事業者にならないことを理由に取引を停止するのは違反

    個人事業主が課税事業者にならないことを理由に、取引を停止することも同様に違反であるため注意しましょう。課税事業者になるようお願いすること自体は違反ではありませんが、課税事業者にならないからといって報酬を引き下げたり、取引を停止したりするのは独占禁止法上違反です。

     

    課税事業者になるよう要請された場合は、まず自分の状況を考えて課税事業者になれるかどうかよく検討しましょう。難しいと判断した場合は正直に取引先へその旨を伝え、今後どうしていくか冷静に話し合ってください。万が一課税事業者にならないことを理由に不当な扱いを受けた場合は、公正取引委員会へ相談するのも手です。

    個人事業主とインボイス制度のまとめ

    個人事業主とインボイス制度のまとめ

    本記事では、インボイス制度によって個人事業主に生じうるデメリットを解説しました。インボイス制度では、個人事業主の仕事や収入が減る可能性があるほか、事務処理の手間が増える懸念もあります。残念ながら抜け道はないため、自分の状況に応じて課税事業者になるかどうか検討し、なる場合は活用できる特例や制度を利用してうまく対応していくしかありません。

     

    個人事業主が課税事業者になるかどうかは、あくまでも自由であり義務ではありません。万が一課税事業者にならないことを理由に取引を停止されたり、報酬を一方的に減らされたりした場合には、公正取引委員会などに相談してみるといいでしょう。

     

     

     

     

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