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2022.06.06

フリーランスの税金は高い?会社員との比較や節税のポイントを紹介

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フリーランスとして独立すると、これまで会社が天引きして代わりに支払ってくれていた税金を、すべて自分で手続きして支払わなければいけません。いざ自分が支払う税金の額を確認すると、思った以上に高いと感じて驚いてしまう人がたくさんいます。

 

フリーランスの税金はなぜ高いのか、フリーランスの税金を安くする方法はないのかと気になっている人も少なくないはずです。本記事では、フリーランスの税金は本当に高いのかや、なぜ高く感じてしまうのか、少しでも税金を安くする方法などについて解説します。

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    フリーランスが支払うべき税金の種類

    フリーランスが支払うべき税金の種類

    フリーランスの税金が本当に高いのか確認する前に、フリーランスの人が支払わなければいけない税金の種類からおさらいしましょう。

    所得税

    フリーランスとして仕事をし、得たお金に対してかかる所得税。1年間で得た収入から必要経費や各種控除を差し引いた課税所得に対して、所定の税率をかけて計算されます。会社員の場合は、1年間の給与合計額に応じて会社が計算をし、毎月の給与から天引きする形で代わりに国へ納めてくれるのが特徴です。

     

    フリーランスの場合は、自ら毎年確定申告で前年の所得や経費、控除額を申告し、算出された所得税を納めます。会社員であってもフリーランスであっても、1年間で得たすべての収入を合算して所得税を支払わなければいけません。例えば、会社員が会社からの給与以外に副業で得たお金や、不動産所得などがある場合には、それらもすべて含めて所得税を支払う必要があります。

     

    会社からの給与以外に収入がない場合、会社員は確定申告をする必要がありませんが、ほかに収入がある場合は自分で確定申告をしなければいけないため注意が必要です。

    住民税

    住民税は、各地方自治体へ納める税金のことで、主に地域の社会福祉や子育て、生活保護や道路整備などに使われるものです。

     

    所得税と同様に、1年間の所得によって金額は異なります。住民税には、各都道府県民税と市区町村民税の2つが含まれており、総称して住民税と呼ばれているのが特徴です。市民税や都民税と呼ばれることもありますが、すべて住民税のことを指しています。

     

    会社員の場合、会社が特別徴収という制度に則って毎月の給与から天引きする形で代わりに納めてくれますが、フリーランスには特別徴収が適用されません。普通徴収というものに則り、自分で納付する必要があります。

     

    毎年2〜3月に確定申告をすると、その年の5〜6月に住民税課税決定通知書と納付書が届くので、案内に従って指定の方法で納税しましょう。

    個人事業税(対象業種のみ)

    個人事業税とは、対象の業種を営んでいる個人事業主にかかる税金のことです。すべての個人事業主にかかるわけではなく、国が定めている特定業種にしかかかりません。また、個人で事業を営んでいる人が対象であるため、会社員の人にもかからないのが特徴です。

     

    個人事業税は業種によって3〜5%の税率がかかり、所得に応じて額が決まります。毎年8月頃に自宅へ納付書が届くので、指定の方法に則って納めましょう。

     

    個人事業税は、事業を行ううえで利用した公共のサービスに対して支払うものという定義であるため、支払った全額を経費として計上することができます。個人事業税は決して安い額ではないため、経費として申告するのを忘れてしまうとかなりの額を損することに。必ず確定申告できちんと全額申告しましょう。

     

    また、以下で個人事業税がかかる対象の業種を紹介します。自分の業種があてはまるかどうかチェックしておいてください。

    個人事業税がかかる業種は?

    以下では、東京都主税局の情報をもとに、個人事業税がかかる業種とそれぞれの税率を表で紹介します。対象の業種は、全部で70種です。

     

    区分

    税率

    業種

    第1種事業(37業種)

    5%

    物品販売業・運送取扱業・料理店業・遊覧所業・保険業・船舶定係場業・飲食店業・商品取引業・金銭貸付業・倉庫業・周旋業・不動産売買業・物品貸付業・駐車場業・代理業・広告業・不動産貸付業・請負業・仲立業・興信所業・製造業・印刷業・問屋業・案内業・電気供給業・出版業・両替業・冠婚葬祭業・土石採取業・写真業・公衆浴場業(むし風呂等)・電気通信事業・席貸業・演劇興行業・運送業・旅館業・遊技場業

    第2種事業(3業種)

    4%

    畜産業・水産業・新炭製造業

    第3種事業(30業種)

    5%/3%

    【5%】

    医業・公証人業・設計監督者業・公衆浴場業(銭湯)・歯科医業・弁理士業・不動産鑑定業・歯科衛生士業・薬剤師業・税理士業・デザイン業・歯科技工士業・獣医業・公認会計士業・諸芸師匠業・測量士業・弁護士業・計理士業・理容業・土地家屋調査士業・司法書士業・社会保険労務士業・美容業・海事代理士業・行政書士業・コンサルタント業・クリーニング業・印刷製版業

     

    【3%】

    あんま/マッサージ又は指圧/はり/きゅう/柔道整復/その他医業に類する事業・装蹄師業

    参照:東京都主税局

    ちなみに、個人事業税がかからない業種には以下のようなものが当てはまります。

     

    • 文筆業(ライターなど)
    • エンジニア
    • 翻訳業
    • 漫画家
    • 画家
    • 音楽家
    • スポーツ選手
    • 芸能人
    • 保険営業等の外交員
    • 林業
    • 農業

     

    ただし、上記のような個人事業税がかからない業種であっても、ビジネスのやり方によっては対象業種になってしまう可能性があります。例えば、WebエンジニアやWebライターとして活動をしていても、クライアントとの契約種別が「請負契約」になっていれば請負業として扱われ、個人事業税の対象業種としてみなされます。

     

    同様に、本来画家であれば個人事業税の対象外業種ですが、デザイナーやイラストレーターとして申告してしまうと、課税対象業種としてみなされてしまうのも注意が必要です。

     

    個人事業税の対象になるかならないかはややこしいルールが多いため、不安な人は税理士や各地方自治体に問い合わせてみることをおすすめします。

    消費税(課税事業者のみ)

    日々の生活のなかで最も身近な税金ともいえる消費税。ふだんお店で物を買ったりサービスを受けたりすると発生する消費税は、ビジネス上の取引においても発生します。フリーランスの場合は、以下2つの条件に当てはまると消費税を納めるべき課税事業者の対象になります。

     

    • 課税期間の売上が1,000万円以上
    • 開業してから2年以上が経過

     

    上記の条件に当てはまらない場合は消費税を納める必要がなく、免税事業者として認めてもらうことが可能です。免税事業者であっても、クライアントから消費税を徴収することはできるので、ある意味免税事業者にとって消費税は少し得をした気分になれるものだといえます。

     

    フリーランスの報酬に対する消費税は見落とされがちですが、必ず事前に報酬は税込みなのかどうかを確認し、税抜きの場合は必ず請求書に消費税を上乗せして請求しましょう。

    国民健康保険料

    国民皆保険制度をとっている日本では、フリーランスの人ももちろん健康保険に加入しなければいけません。フリーランスの場合は、一部の人を除き原則として国民健康保険に加入します。各自治体が管理しているものなので、会社員をやめてフリーランスになった場合は必ず自治体で手続きを行いましょう。

     

    国民健康保険料は、各自治体によって定められた料率や所得、家族構成等によって金額が決まります。会社員であれば、健康保険料は会社と折半をして支払うため、安い金額で保険を受けることが可能です。フリーランスの場合は全額自己負担なので、会社員時代に比べて格段に高くなったと感じる人がたくさんいます。

     

    国民健康保険料は支払った全額が控除できるので、確定申告の際に忘れないようにしましょう。

    国民年金保険料

    フリーランスの人は、国民年金にも加入しなければいけません。国民年金保険料は所得に関わらず誰でも同じ一律料金で、毎年見直しが行われます。

     

    ちなみに、会社員の場合は、国民年金に加えて厚生年金というものにも加入します。その分老後にもらえる年金の額も増えるうえ、毎月支払う額は会社と折半するため、そこまで負担額は高額になりません。フリーランスの場合は国民年金にしか加入できないため、老後にもらえる年金も国民年金のみです。

     

    国民健康保険料と同様に、国民年金保険料も支払った全額を確定申告で控除できます。

    フリーランスと会社員|それぞれ支払う税金の額を比較!

    フリーランスと会社員|それぞれ支払う税金の額を比較!

    ここからは、フリーランスと会社員でどのくらい支払う税金の額が異なるのか、具体例を出して比較してみましょう。

     

    なお、以下で紹介する税額はあくまでもざっくりと算出したものであり、一例です。税額や適用される制度などは人によって大きく異なることがあるので、あくまでも参考程度として捉えてください。

     

    また、いずれも30歳男性・独身・その他控除なしと仮定して比較します。

    年収300万円で比較した場合

    まずは、年収300万円の会社員とフリーランスを比較してみましょう。

     

    <課税所得>

    会社員

    フリーランス

    給与所得:300万円

    事業所得:300万円

    給与所得控除:-98万円

    必要経費:-100万円

    社会保険料:-43万円

    青色申告控除:-65万円

    配偶者控除:-0円

    国民健康保険料控除:-21万円

    基礎控除:-48万円

    国民年金保険料控除:-20万円

    配偶者控除:-0円

    基礎控除:-38万円

    課税所得:111万円

    課税所得:56万円

     

    <支払う税金>

    会社員

    フリーランス

    所得税:6万円

    所得税:2万円

    住民税:12万円

    住民税:6万円

    社会保険料:43万円

    個人事業税:3万円

    国民健康保険料:13万円

    国民年金保険料:20万円

    合計:61万円

    合計:44万円

     

    フリーランスの経費が会社員の給与所得控除額と同じくらいだと仮定すると、年収300万円の場合はフリーランスの方が税金が安くなりました。

    年収600万円で比較した場合

    次に、年収600万円で比較してみます。

     

    <課税所得>

    会社員

    フリーランス

    給与所得:600万円

    事業所得:600万円

    給与所得控除:-164万円

    必要経費:-150万円

    社会保険料:-86万円

    青色申告控除:-65万円

    配偶者控除:-0円

    国民健康保険料控除:-35万円

    基礎控除:-48万円

    国民年金保険料控除:-20万円

    配偶者控除:-0円

    基礎控除:-38万円

    課税所得:300万円

    課税所得:292万円

     

    <支払う税金>

    会社員

    フリーランス

    所得税:21万円

    所得税:19万円

    住民税:31万円

    住民税:29万円

    社会保険料:86万円

    個人事業税:14万円

    国民健康保険料:36万円

    国民年金保険料:20万円

    合計:141万円

    合計:118万円

     

    600万円のときも同様に、フリーランスの経費が会社員の給与所得控除額と同じくらいだと仮定すると、フリーランスの方が税金が安くなりました。

    年収1,000万円で比較した場合

    最後に、年収1,000万円の会社員とフリーランスを比較してみましょう。

     

    <課税所得>

    会社員

    フリーランス

    給与所得:1,000万円

    事業所得:1,000万円

    給与所得控除:-195万円

    必要経費:-200万円

    社会保険料:-144万円

    青色申告控除:-65万円

    配偶者控除:-0円

    国民健康保険料控除:-69万円

    基礎控除:-48万円

    国民年金保険料控除:-20万円

    配偶者控除:-0円

    基礎控除:-38万円

    課税所得:613万円

    課税所得:56万円

     

    <支払う税金>

    会社員

    フリーランス

    所得税:82万円

    所得税:78万円

    住民税:62万円

    住民税:61万円

    社会保険料:144万円

    個人事業税:30万円

    国民健康保険料:69万円

    国民年金保険料:20万円

     

    消費税:50万円

    合計:288万円

    合計:308万円

     

    フリーランスの経費が会社員の給与所得控除額と同じくらいだと仮定すると、今回は会社員の方が安くなりました。フリーランスの人は売上が1,000万円を超えると消費税を負担しなければいけないため、そこで差がついたと考えられます。

    フリーランスの税金が高いと一概には言えないことがわかる

    上記3パターンの例を見てわかるのは、フリーランスの税金が決して一概に高いとは言い切れないということです。

     

    上記の例においても、もっと経費が多いビジネスを行っている人や、小規模企業共済に加入している人、その他各種控除が利用できる人だとすると、もっと税額は下がります。それを鑑みても、決してフリーランスの人だけが高い税金を負担しているわけではないと考えてよいでしょう。

     

    また、フリーランスのメリットは、うまく節税することで会社員よりも節税の幅が広がるという点です。後項でも簡単にできる節税方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

    フリーランスの税金が高く感じる理由は?

    フリーランスの税金が高く感じる理由は?

    フリーランスの税金が会社員に比べて高いと一概にはいえないことがわかりましたが、ではなぜフリーランスの税金が高いと感じる人が多いのでしょうか。

    健康保険料が全額自己負担だから

    ひとつめの理由として、国民健康保険料の負担額が挙げられます。先述したとおり、フリーランスの人は国民健康保険料を全額自己負担しなければいけません。

     

    単純に見ると、会社と折半する会社員の健康保険料額よりも2倍の費用を支払わなければいけないため、健康保険料単体で見るとどうしても高額に感じてしまいます。給与からあらかじめ天引きしてもらえるわけではなく自ら納付するという点も、より高い額を払っている実感を得てしまう要因のひとつです。

    前年の所得に税金がかかるから

    税金は前年の所得額に応じて納める額が決まるため、その年の収入に比べて大きなギャップを感じてしまうことも要因のひとつとして考えられます。

     

    フリーランス1年目の人の場合は、なかなか仕事がうまく取れず収入が思ったように増えないことも少なくありません。たとえフリーランス1年目の収入が少ないとしても、前の年に会社員としてたくさん収入を得ていた場合は、フリーランス1年目からある程度の額の税金を納める必要があります。

     

    また、フリーランスは収入が不安定になりがちでもあるため、たまたまその年は収入をたくさん得られたとしても、翌年の収入が下がると税金の支払い負担が大きくなってしまう点も要因のひとつです。

    65万円〜220万円の給与所得控除がないから

    会社員は、給与に応じて65万円〜220万円の給与所得控除というものが受けられますが、フリーランスには給与所得控除が適用されません。かわりに青色申告特別控除が受けられるものの、控除額は最大で65万円です。

     

    年収が高くなればなるほど給与所得控除との差が出てしまうため、課税所得の額が高いと感じてしまうのだと考えられます。

     

    また、青色申告をせず白色申告を行っているフリーランスの人の場合は、青色申告特別控除が受けられません。その他税制上のメリットも受けられないものがあるため、より一層高く感じてしまいます。

    個人事業税や消費税がかかるから

    前項のシミュレーションにも記載しましたが、フリーランスの人には個人事業税や消費税がかかります。とはいえ、個人事業税は対象業種のみにしかかからないため、前項で紹介した対象業種でない人にはかかりません。

     

    また、消費税も年間の売上が1,000万円以下の人や、フリーランスとして開業してから2年がたっていない人は支払い対象から外れます。

     

    いずれも必ず全員に発生するわけではありませんが、両方とも支払い対象の人の場合は税金がかなり高く感じてしまうといえます。

    上手に節税をして負担を減らそう!節税の基本

    上手に節税をして負担を減らそう!節税の基本

    先述したとおり、フリーランスの人はうまく節税をすることで、支払う税金の額を大きく抑えることが可能です。以下で節税の基本を解説するので、参考にしてみてください。

    ①経費:漏れなく正しく計上する

    フリーランスの節税に欠かせないポイントが、経費です。そもそも税金は、1年間で得た収入から必要経費を差し引いた額(課税所得)に対してかかります。つまり、経費が多ければ多いほど課税所得が少なくなるため、その分支払う税金が少なくなるということです。

     

    経費をしっかりと計上するためには、何をどこまで経費にできるのかをきちんと把握しておかなければいけません。本来なら経費として計上できるものを見落としていると、意外に大きな額を損することにつながります。

     

    もちろん経費でないものを経費と偽って申告するのは脱税にあたるため絶対にしてはいけませんが、損をしないように経費になりうるものはすべて経費にすることが節税への第一歩です。

     

    経費とは、簡単にいうと「事業を行うために必要な費用」のこと。経費になりうるものを挙げるとたくさんありますが、一例は以下のとおりです。

     

    • 仕入れた商品の原価
    • 仕事をするうえで必要な文房具や事務用品、パソコンやデスクなど
    • 取引先との会食費
    • 出張のための交通費や宿泊費
    • 事務所の家賃や光熱費
    • 広告費
    • 取引先への手土産代
    • パソコンやスマートフォンの通信費

     

    上記はあくまでも一例であり、ほかにも事業のために使った費用であれば経費として計上することができます。基本的に「事業のために使った」と証明できれば経費にできますが、迷った場合はインターネットで調べてみるのも手です。

    事業を始める前の経費も開業費として経費にできる

    経費にできるもののポイントとして、開業費もおさえておきたいもののひとつです。開業費とは、開業のためにかけた費用のことで、開業届に記載の日付より前に支払ったものでも経費として扱うことができます。以下が開業費の一例です。

     

    • 事務所を決めるうえでの調査にかかった費用
    • 開業のためにそろえたパソコンやデスク、事務用品代など
    • 開業知識をつけるために受けたセミナーの受講料
    • 開業にあたってお世話になる人との会食費
    • 開業のための打ち合わせにかかった費用
    • 開業前に支払った事務所の家賃

     

    開業費には、いつまで日付をさかのぼってよいかの決まりはありません。日付がいつであっても、開業のために使ったと証明できれば開業費として計上ができます。意外に見落としがちなので、必ずチェックしておきましょう。

    経費として計上できる税金がある

    経費として計上してもいい税金がある点もおさえておきましょう。前項で触れたものもありますが、経費にできる税金には以下のようなものがあります。

     

    • 消費税
    • 自動車税
    • 固定資産税
    • 償却資産税
    • 事業税(個人事業税)
    • 不動産取得税
    • 登録免許税
    • 印紙税

     

    ただし、どれでも全額が経費にできるわけではない点には注意が必要です。例えば自動車税は、100%事業用として使っているなら全額経費にできますが、自家用との併用であれば一部しか経費にできません。事業に使っている割合を按分した金額しか経費にできないため、仮に50%ずつ使用しているのであれば経費にできるのは50%のみです。

     

    それぞれ計上にあたってルールがある場合も想定できるため、必ず事前に確認したうえで経費計上してください。

    「家事按分」で家賃や光熱費も経費にできる

    自宅を事務所としても使っている場合には、家事按分というものを利用して一部を経費にすることができます。家賃だけでなく、光熱費や駐車場なども同様に家事按分を利用することが可能です。

     

    家賃を家事按分する場合には、自宅の総面積のうち約何%を事業用として使用しているのかを計算します。例えば、100平方メートルの自宅の1部屋で仕事をしている場合、その部屋の面積分だけを経費にすることが可能です。仮にその部屋が6畳であれば、約10平方メートルになるため家賃の10%が経費にできます。

     

    そのほか、家事按分は使用時間で算出することも可能です。例えば、ワンルームの部屋で24時間のうち8時間だけ仕事をしている場合は、約33%を経費にすることができます。

     

    光熱費に関しては、電気は使う人がほとんどなものの、水道やガスは事業に使っていない場合は経費にできません。自宅で料理教室を開いているなど、水道やガスを使っていることが証明できないと経費にできないため、注意が必要です。

    経費かどうかは自分で決める

    経費の豆知識として、経費かどうかは自分で決められるという点もおさえておいてください。何をどこまで経費にしてもよいのかは、誰しもが迷うポイントです。同様に、税務調査官側であっても、すべての経費に一貫して白黒を100%つけられるわけではありません。

     

    つまり、経費として計上してもよいものの判断基準は「事業に関わる支出かどうか」という抽象的なものしかないため、自分が経費だとしっかり主張できるなら、経費計上してもよいということです。

     

    もちろん虚偽の申告は脱税にあたるため絶対にしてはいけませんが、自分が事業に関わるものだと証明できるのであれば経費にして問題ありません。むしろ、グレーだからといって諦めるのは少しもったいないことでもあります。

     

    仮に税務調査が入ったとしても、判断するのは税務調査官というひとりの人間です。人がケースごとに判断をするため、担当の調査官によって経費か経費でないかの判断は異なります。

     

    例えば、普段なかなかパーティドレスを着用する機会がない人が、取引先のパーティに招待されドレスを購入した場合に経費として扱えるかどうかというと、グレーかもしれません。しかし、プライベートでは一切そのパーティドレスを着用しない可能性もあり、その場合は事業に関わる経費として認めてもらえる可能性が十分にあります。

     

    明らかに私的なものを経費として申告するのは脱税にあたりますが、自分で明確に事業用だと言い切れるものがある場合は、経費として計上しておく方が得です。仮に経費とはいえないと指摘を受けたとしても、少額の延滞税を支払えば解決します。

     

    ただし、明らかな嘘をついた場合や他人の領収書を経費として扱った場合は、脱税として重加算税の対象にされてしまうため、絶対に控えてください。

    ②控除:受けられる控除を把握して漏れなく申告する

    経費と同様に重要なのが、控除です。控除は本来何かを差し引くことを意味するもので、税金においては課税所得を減らすことを意味します。得た収入から経費を差し引くことができると先述しましたが、経費も同様に収入から差し引くことが可能です。

     

    控除には、所得控除と税額控除という2種類のものがあります。以下でそれぞれどんなものがあるか紹介するので、チェックしておいてください。

     

    【所得控除】

     

    控除名

    内容

    基礎控除

    確定申告をする人なら全員対象になるもの。38万円が控除される。

    配偶者控除

    合計所得が48万円以下の配偶者がいる人が対象になるもの。控除される金額は13万円〜48万円の間で条件によって異なる。

    配偶者特別控除

    合計所得が48万円以上133万円以下の配偶者がいる人が対象になるもの。控除される金額は1万円〜38万円の間で条件によって異なる。

    扶養控除

    合計所得が48万円以下の扶養家族がいる人が対象になるもの。控除される金額は、38万円〜58万円の間で条件によって異なる。

    雑損控除

    自然災害や盗難、横領などによって自身の家財や資産に損失が出た場合に対象となるもの。控除される金額は指定の計算方法で算出。詐欺や恐喝によるものは対象外。

    医療費控除

    生計をともにする親族や自分の医療費が1年間で10万円を超えた場合に対象となるもの。控除される金額は指定の計算方法で算出。

    社会保険料控除

    国民健康保険料や国民年金保険料、介護保険料などを支払っている人が対象になるもの。1年間で支払った全額が控除でき、生計をともにする配偶者や扶養家族の分も合算できる。

    小規模企業共済等掛金控除

    小規模企業共済掛金や確定拠出年金を支払っている人が対象になるもの。iDeCoも対象になる。1年間で支払った全額が控除できる。

    生命保険控除

    生命保険や個人年金、介護医療保険を支払っている人が対象になるもの。控除される金額は指定の計算方法で算出。

    地震保険料控除

    地震保険などの損害保険料を支払っている人が対象になるもの。控除される金額は指定の計算方法で算出されるが、最高額は5万円。

    寄附金控除

    国や地方自治体に寄附をした人が対象になるもの。ふるさと納税も対象になる。控除される金額は指定の計算方法で算出。

    障害者控除

    自分や配偶者、扶養家族が障害者認定を受けている人が対象になるもの。控除される金額は障害者区分により27万円〜75万円の間で異なる。

    寡婦(夫)・ひとり親控除

    配偶者と死別した人や、ひとり親の人が対象になるもの。控除される金額は、ひとり親なら35万円、寡婦(夫)なら27万円。

    勤労学生控除

    自身が勤労学生に該当する場合に対象になるもの。控除される金額は27万円。

     

    【税額控除】

     

    控除名

    内容

    住宅ローン控除

    住宅ローンを組んでマイホームを購入・増築・新築した人が対象になるもの。合計所得が3,000万円以下であることや、住宅の床面積が50㎡以上であることなど条件がある。控除される金額は住宅ローン残高をもとに指定の計算方法で算出。

    外国税額控除

    外国で所得税などを納付した人が対象になるもの。二重課税を防ぐために設けられている。控除される金額は指定の計算方法で算出。

    源泉徴収税額控除

    すでに売上から源泉徴収額が引かれている場合に対象になるもの。控除される金額はすでに支払った合計額。

    災害減免額控除

    自然災害などで住宅や資産に損害を受けた人が対象になるもの。控除される金額は状況や所得金額によって異なる。

    配当控除

    利益配当や基金利息、証券投資信託の利益分配等の配当所得がある人が対象になるもの。控除される金額は指定の計算方法で算出。

     

    上記のなかで自分が対象になる控除があれば、必ず確定申告でもれなく申告しておきましょう。

    ③青色申告:確定申告は必ず青色申告で行う

    確定申告を青色申告で行うことも、外せないポイントです。確定申告には白色申告と青色申告というものがあり、青色申告のほうがより高い節税効果を見込めます。青色申告であれば、最大65万円の控除を受けることが可能です。

     

    白色申告は、控除される金額が少ないかわりに、楽に確定申告ができるもの。確定申告時に必要な書類の種類が少なく、いずれも簡単な書類のみです。

     

    青色申告は提出しなければいけない書類が多く、いずれも帳簿が難しいものばかりですが、最近では会計ソフトがすべて自動で行ってくれます。日々家計簿をつける感覚で収支を記録しておけば、確定申告時に自動で書類を作成してくれるため、とくに大きな手間は発生しません。

     

    確定申告をする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」と「開業届」さえ出していれば青色申告ができるので、必ず取り入れるようにしましょう。

    すぐに始められる!フリーランス初心者におすすめの節税方法

    すぐに始められる!フリーランス初心者におすすめの節税方法

    最後に、誰でもすぐに始められる簡単な節税方法を紹介します。

    ふるさと納税:節税ができて豪華な返礼品までもらえる

    ふるさと納税とは、自分の好きな自治体へ寄付することで豪華な返礼品がもらえ、そのうえ寄付額が所得税や住民税の控除対象にできるという魅力的な制度です。返礼品には高級食品や家電、旅行券など豪華なものがたくさんそろっています。

     

    控除される金額の上限は所得によって異なりますが、寄附金額から2,000円を引いた全額が控除されるのが特徴です。例えば、5万円の寄付を行って返礼品に牛肉をもらった場合、48,000円分の住民税や所得税が控除されるうえ、実質2,000円で牛肉がもらえたことになります。

     

    寄付したい自治体や寄付金の用途が自由に選べるのもポイントです。お得でメリットの多い人気の制度なので、近年では節税の定番になりつつあります。

    iDeCo:老後の資金を貯めながら節税できる

    老後にもらえる年金が少ないフリーランスにとっては、とくにメリットが多いiDeCo。iDeCoとは、自分でお金を毎月積み立てて老後の資金に充てられる個人年金制度のことです。

     

    会社員でもフリーランスでも誰でも加入ができますが、フリーランスの方が上限掛け金が高いため節税効果がより見込めます。会社員であれば、掛け金の上限は月額23,000円、年額276,000円です。フリーランスだと、月額で68,000円、年額で816,000円まで掛けることができます。

     

    iDeCoで積み立てた全額を控除することができるため、最大で年間816,000円もの金額を所得から差し引くことが可能です。また、本来投資で得た利益には20%の税金がかかりますが、iDeCoの運用で出た利益は全額が非課税に。出た利益は全額自分の資産にできるため、収入が不安定なフリーランスにとって非常にうれしい制度といえるでしょう。

    小規模企業共済:退職金を積み立てながら節税できる

    小規模企業共済は、毎月お金を積み立て、廃業した後に退職金のような形で受け取れる制度のことです。iDeCoと同様に、退職金がなく年金が少ないフリーランスにとって、非常にうれしい制度といえます。

     

    小規模企業共済に積み立てた金額は、iDeCoと同様に全額を所得から控除することが可能です。最低1,000円から最大70,000円の間で好きな額を選び、毎月積み立てていきます。仮に毎月70,000円積み立てた場合は、所得控除が840,000円受けられるので、非常に大きな節税効果が見込めます。

     

    また、iDeCoのように運用をするのは不安、どんな商品を運用すればいいかよくわからないという人には、小規模企業共済がおすすめです。小規模企業共済は運用ではなくただ積み立てるだけなので、初心者でも安心して取り組むことができます。

     

    指定の年齢になれば、積み立てた金額を100%受け取ることが可能です。反面、もちろん利益が出ることもありませんが、変動リスクが怖い人にとっては安心できる方法だといえます。

    フリーランスの税金まとめ

    フリーランスの税金まとめ

    本記事では、フリーランスの税金が本当に高いのかどうか、なぜ高いと感じるのかなどについて解説しました。フリーランスの場合、見方によっては税金が高いように感じることがあったり、人によっては負担する税金の種類が多くなったりすることがあります。

     

    しかし、フリーランスの人は、節税をうまく行うことで税金の負担を減らすことが可能です。ふるさと納税やiDeCo、小規模企業共済などは、初心者でも手が出しやすいことで人気があります。税金が高い、節税して負担を減らしたいと考えている人は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

     

     

     

     

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      フリマネ編集部
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